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平成28年(行ケ)第10252号 審決取消請求事件:AKA

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  • 2017/07/14
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事件番号等

平成28年(行ケ)第10252号 審決取消請求事件

裁判年月日

平成29年6月28日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(第3部)

権利種別

商標権(「AKA」)

訴訟類型

行政訴訟(無効・一部成立)

結果

請求棄却

趣旨

  1. 特許庁が無効2015-890026号事件について平成28年10月25日にした審決のうち,登録第5525468号の指定役務「健康診断,歯科医 業,調剤,あん摩・マッサージ及び指圧,整体,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」に係る部分を取り消す。

取消事由

本件審決は,「AKA」の文字(本件商標)は,その余の指定役務との関係 において,その役務の普通名称,質等を表すものと認識されるとすべき事情は 見当たらないと認定したが,次のとおり,その認定には誤りがある。 したがって,本件審決のうち,当該誤った認定に基づく部分(その余の指定 役務に関する部分)は取り消されるべきである。

  1. 理由a
    本件指定役務中,「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」は, 特許庁の「類似商品・役務審査基準」(国際分類第11-2017版対応)によれば,「42V02」の同一類似群コードに属するところ,類似群は,役務 の類否を判定する一般的基準である役務の提供の手段,目的又は場所の同一性, 需要者の範囲の同一性,業種又は事業者の同一性,規制する法律の関連性,役務の提供の用に供する物品の関連性等を総合的に考慮し,各役務と類似する役務の類似群として作成されたものであるから,同一類似群に属する役務の関連性は相互に高いといえる。
  2. 理由b
    本件指定役務中,「あん摩・マッサージ及び指圧,整体,カイロプラ クティック,きゅう,柔道整復,はり」の類似群コードは「42V01」であ り,「医業」とは別の類似群コードに属する。 しかしながら,「42V01」の指定役務は,人体の関節,骨,その周辺の 筋肉,神経への手技又はきゅう,はりを用いて作用させて,関節部位の痛みの 治療,腰痛治療,歯痛・歯のかみ合わせの改善,骨折治癒後の痛みの改善,ス ポーツによる痛みの改善等の人体の痛みの治療や関節機能の異常を改善するこ とを目的とするリハビリテーション及び痛みの原因を診断することであり,「A KA」治療法の目的・治療方法とかなりの部分で重なるもので,近接の手技に よるリハビリテーション治療法である(甲54)。さらに,指圧,整体,カイ ロプラクティック,きゅう,はり,電気刺激,漢方薬等のリハビリテーション・ 治療分野では,「AKA」治療法が有効な手技治療法として知られている(甲 53)。「AKA」技術を解説した審判甲・乙号証の技術からも,これら指圧等の手技への応用は容易に想到できる。
  3. 理由c
    本件商標を,「あん摩・マッサージ及び指圧,整体,カイロプラクティック, きゅう,柔道整復,はり」の指定役務に対して,造語として案出した新しいブランドとすることは,甚だ不自然であるとともに,被告が三十数年研究開発を行い,提案・提示する医業の「関節運動学的アプローチによる治療法」の事実とは矛盾するものである。したがって,これらの指定役務との関係で,「関節運動学的アプローチ」でない「AKA」を造語とすることはあり得ない。
  4. 理由d
    商標法の法理に従えば,結論として,登録商標の一つの指定役務(指定商品についても以下同様である。)において無効事由が存在する場合,当該指定役務と類似する範囲(同一類似群に属するもの)の他の指定役務についても,無効事由があるものとされるべきである。

裁判所の判断

  • 以上の次第であるから,本件審決に取り消されるべき違法はなく,本件請求は理由がない。

キーワード

無効審判/類似群コード/自他識別力/品質誤認



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 原告は,本件指定役務中,「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」が同一の類似群コードを付されていることを根拠に,同一類似群コード中の一つの役務で普通名称となっている「AKA」(本件商標)は,同一類似群コードの他の類似の役務との関係でも質表示となるものと扱われるべきであるから,本件商標は,本件指定役務中,「医業,医療情報の提供」のみならず,「健康診断,歯科医業,調剤」についても,法3条1項3号に該当し,同項6号,4条1項16号にも該当すると主張する。しかしながら,そもそも類似群コードを定める「類似商品・役務審査基準」は,特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために作られた内規にすぎず,法規としての効力を有するものではない。したがって,同一の類似群コードに属するとの形式的事実のみから,直ちに,本件商標が「医業,医療情報の提供」と同様に「健康診断,歯科医業,調剤」の各役務との関係においても,質表示に当たるとか,自他役務識別力がないとの結論を導くことはできず,かかる結論を導くには,本件商標が上記の各役務との関係で質表示に当たることその他自他役務識別力がないことを認めるに足りる具体的事由の主張立証が必要となるというべきである

 

判決文

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