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平成28年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件:ポリビニルアルコール系重合体フィルム

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  • 2017/07/19
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事件番号等

平成28年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件

裁判年月日

平成29年6月29日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(第2部)

権利種別

特許権(「ポリビニルアルコール系重合体フィルム」)

訴訟類型

行政訴訟(無効・不成立)

結果

審決取消

趣旨

  1. 特許庁が無効2015-800090号事件について平成28年2月2日にした審決を取り消す。
  2. 訴訟費用は被告の負担とする。

取消事由

  1. 取消事由1(サポート要件の判断の誤り)
  2. 取消事由2(実施可能要件の判断の誤り)
  3. 取消事由3-1(相違点1の容易想到性の判断の誤り)
  4. 取消事由3-2(相違点2-1の容易想到性の判断の誤り)

裁判所の判断

  • 本件訂正発明1は,本件出願日当時の技術常識を有する当業者が本件訂正明細書において本件訂正発明1の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えるものであって,特許法36条6項1号所定のサポート要件に適合するものということはできないから,これと異なる審決の判断は誤りである。
  • 本件訂正発明2~4,6,7,9,10~13,14は,本件出願日当時の技術常識を有する当業者が本件訂正明細書において本件訂正発明2~4,6,7,9,10~13,14の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えるものであって,特許法36条6項1号所定のサポート要件に適合するものとはいえない。
  • 以上によると,取消事由1は理由がある。よって,審決の全部を取り消す。

キーワード

特許請求の範囲の記載要件(サポート要件)



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

  (1) 特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,明細書のサポート要件の存在は,特許出願人(特許拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟の原告)又は特許権者(特許取消決定取消訴訟又は特許無効審判請求を認容した審決の取消訴訟の原告,特許無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟の被告)が証明責任を負うと解するのが相当である(当庁平成17年(行ケ)第10042号同年11月11日特別部判決・判例タイムズ1192号164頁参照)。

実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 ク 審決は,本件ラウリン酸ジエタノールアミド混合物による実施例の開示のみによって,請求項で「ノニオン系界面活性剤(B)」への上位概念化をしてもサポート要件に適合する理由として,「ノニオン系」という一群の界面活性剤が,ノニオン性であり,界面活性作用がある点で技術的特徴が共通し,その性質も類似することを主たる理由とするが,前記オのとおり,常温長期保管時における黄変の機序やその抑制の機序が明らかでない以上,ノニオン系界面活性剤に共通するノニオン性であり,界面活性作用があるという技術的特徴と,それに起因する性質の類似性が,本件訂正発明1の課題解決にどのように関連するかは不明であるといわざるを得ないから,実施例の拡張又は一般化がサポート要件に適合する理由付けとして不十分というほかない。したがって,ノニオン系界面活性剤が,ノニオン性であり,界面活性作用がある点で技術的特徴が共通し,その性質も類似するという審決指摘の点は,本件訂正発明1が特許法36条6項1号所定のサポート要件に適合することの理由となるものではなく,本件訂正発明1がサポート要件に適合しない旨の判断を左右するものではない。

 

判決文

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