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平成27年(ワ)第22491号 損害賠償請求事件:ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法

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  • 2017/08/21
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事件番号等

平成27年(ワ)第22491号 損害賠償請求事件

裁判年月日

平成29年7月27日

担当裁判所

東京地方裁判所(民事第47部)

権利種別

特許権(「ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法」)

訴訟類型

民事訴訟

結果

一部認容

<主文>
  1. 被告岩城製薬は,原告に対し,2億0363万2798円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 被告高田製薬は,原告に対し,1億1815万9458円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 被告ポーラファルマは,原告に対し,1億6822万3686円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  4. 被告らは,原告に対し,連帯して5億7916万9686円及び内4億円に対する平成27年9月15日から,内1億7916万9686円に対する平成28年9月1日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  5. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  6. 訴訟費用のうち,計算鑑定に要した費用は原告の負担とし,その余はこれを5分し,その1を原告の負担とし,その4を被告らの連帯負担とする。
  7. この判決は,第1項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。

趣旨

  1. 被告岩城製薬は,原告に対し,3億1500万円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 被告高田製薬は,原告に対し,1億3500万円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 被告ポーラファルマは,原告に対し,2億7000万円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  4. 主文第4項と同旨

争点

  1. 本件製造方法に係る均等侵害の成否
    具体的には,本件製造方法について,本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの「特段の事情」の有無
    なお,本件製造方法が本件特許権の均等侵害に係るその余の要件を充足することについては,当事者間において争いがない。
  2. 原告が本件特許権の共有者の1人であることに関し,原告が被告らに対して損害賠償請求できる範囲
  3. 外用ビタミンD3製剤の市場での原告製品(オキサロール軟膏)のシェア喪失による原告の損害額
  4. 原告製品(オキサロール軟膏及びオキサロールローション)の取引価格下落による原告の損害額 なお,被告製品の薬価収載によって原告製品の薬価が下落したこと自体は争いがない。
  5. 被告らの過失の有無
  6. 過失相殺の成否
  7. 特許法102条4項後段の適用の有無

裁判所の判断

  • 原告の請求は,①原告製品のシェア喪失に基づき,被告岩城製薬に対し,損害賠償金2億0363万2798円及びこれに対する平成27年9月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,被告高田製薬に対し,損害賠償金1億1815万9458円及びこれに対する上記同様の遅延損害金の支払を,被告ポーラファルマに対し,損害賠償金1億6822万3686円及びこれに対する上記同様の遅延損害金の支払を,②原告製品の薬価下落に基づき,被告らに対し,連帯して損害賠償金5億7916万9686円及び内4億円に対する平成27年9月15日から,内1億7916万9686円に対する平成28年9月1日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を,それぞれ求める範囲で理由があるからこれらを認容し,その余は理由がないからこれらをいずれも棄却する。

キーワード

原告の損害額/均等侵害(「意識的除外」)/特許法102条4項後段



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 (1) 特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,所定の要件を満たすときには,対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するというべきであるが,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するときは,上記のような均等の主張は許されないものと解される。そして,出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合において,客観的,外形的にみて,対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえるときには,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するというべきである(最高裁平成28年(受)第1242号,平成29年3月24日第二小法廷判決参照)。

 

判決文

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