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平成27年(ワ)第23843号 特許権侵害差止等請求事件:生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置

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  • 2018/01/05
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事件番号等

平成27年(ワ)第23843号 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日

平成29年12月13日

担当裁判所

東京地方裁判所(第40民事部)

権利種別

特許権(「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」)

訴訟類型

民事訴訟

結果

一部認容

趣旨

  1. 被告白石又は被告Aは,別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  2. 被告白石又は被告Aは,別紙物件目録3記載の「固定リング」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  3. 被告白石又は被告Aは,別紙物件目録4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  4. 被告白石又は被告Aは,その保持する別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」,同3記載の「固定リング」並びに同4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を廃棄せよ。

  5. (主位的請求)
    被告白石及び被告Aは,原告に対し,連帯して6181万7048円及びこれに対する平成27年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    (予備的請求)
    被告白石は,原告に対し,6181万7048円及びこれに対する平成27年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  6. 被告Bは,別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸し渡し,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  7. 被告Bは,別紙物件目録3記載の「固定リング」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  8. 被告Bは,別紙物件目録4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  9. 被告Bは,その保持する別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」,同3記載の「固定リング」並びに同4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を廃棄せよ。

  10. (主位的請求)
    被告白石,被告A及び被告Bは,原告に対し,連帯して5146万0920円及びこれに対する平成27年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    (予備的請求)
    被告Bは,原告に対し,5146万0920円及びこれに対する平成27年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  11. 被告共立は,別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸し渡し,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  12. 被告共立は,別紙物件目録3記載の「固定リング」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  13. 被告共立は,別紙物件目録4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
  14. 被告共立は,その保持する別紙物件目録1及び2記載の「生海苔異物除去機」,同3記載の「固定リング」並びに同4記載の「板状部材」又は「ステンチップ」を廃棄せよ。

  15. (主位的請求)
    被告白石,被告A及び被告共立は,原告に対し,連帯して3464万1548円及びこれに対する平成27年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    (予備的請求)
    被告共立は,原告に対し,3464万1548円及びこれに対する平成27年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  16. 訴訟費用は被告らの負担とする。
  17. 仮執行宣言

争点

(1) 被告装置(LS型)の製造,販売の有無
(2) 被告装置が本件各発明の技術的範囲に属するか
 ア 構成要件B2等の充足性
 イ 構成要件Cの充足性
(3) 本件固定リング及び本件板状部材の譲渡等が間接侵害に該当するか
(4) 本件各発明は特許無効審判により無効にされるべきものか
 ア サポート要件違反(本件発明1につき)
 イ 進歩性欠如(本件各発明につき)
(5) 先使用による通常実施権の有無
 ア 乙5装置に係る事業に基づく渡邊機開の先使用権
 イ 乙16の2発明の実施である事業の準備に基づく渡邊機開の先使用権
(6) 被告Aに対する差止請求の可否
(7) 共同不法行為等の成否
(8) 過失推定の覆滅の有無
(9) 損害発生の有無及びその額
(10) 消滅時効の成否

裁判所の判断

  • 以上によれば,原告の請求は,
     ①被告白石に対し,特許法100条1項に基づき,被告製品の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出の差止めを求めるとともに,同条2項に基づき,被告製品の廃棄を求め,
     ②被告白石に対し,不法行為に基づき,6181万7048円及びこれに対する不法行為の後の日(被告白石に対する証拠保全申立書等の送達の日の翌日)である平成27年5月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,
     ③被告Bに対し,特許法100条1項に基づき,被告製品の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出(被告装置については輸出も含む。)の差止めを求めるとともに,同条2項に基づき,被告製品の廃棄を求め,
     ④被告Bに対し,不法行為に基づき,5122万5180円及びこれに対する不法行為の後の日(本訴状送達の日の翌日)である平成27年11月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,
     ⑤被告共立に対し,被告製品の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出(被告装置については輸出も含む。)の差止めを求めるとともに,同条2項に基づき,被告製品の廃棄を求め,
     ⑥被告共立に対し,不法行為に基づき,3464万1548円及びこれに対する不法行為の後の日(本訴状送達の日の翌日)である平成27年11月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度で認容し,
     被告白石及び被告Bに対するその余の請求及び被告Aに対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとする。
  • なお,主文第4項,第9項及び第14項について仮執行宣言を付すのは相当でなく,また,主文第1項ないし第3項,第5項ないし第8項,第10項ないし第13項及び第15項について仮執行免脱宣言を付すのは相当でない。

キーワード

構成要件充足性/間接侵害(特許法101条1号)/先使用権



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 8 争点(5)ア(乙5装置に係る事業に基づく渡邊機開の先使用権)について
(1) 特許法79条は,「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし,又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して,特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は,その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において,その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。」として,いわゆる先使用権を規定する。

 この規定の「実施又は準備をしている発明・・・の範囲」とは,特許発明の特許出願の際に先使用権者が現に日本国内において実施又は準備をしていた実施形式に限定されるものではなく,その実施形式に具現されている技術的思想すなわち発明の範囲をいうものと解されるから,先使用権の効力は,特許出願の際に先使用権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく,これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更した実施形式にも及ぶものと解するのが相当である(最高裁昭和61年(オ)第454号同年10月3日第二小法廷判決・民集40巻6号1068頁参照)。

 そして,「発明」とは,自然法則を利用した技術的思想の創作をいうのであるが(特許法2条1項),それは,一定の技術的課題(目的)の設定,その課題を解決するための技術的手段の採用及びその技術的手段により所期の目的を達成し得るという効果の確認という段階を経て完成されるものであって,発明が完成したというためには,その技術内容が,当該技術分野における通常の知識を有する者が反復継続して目的とする効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていることが必要であると解される(前記最高裁昭和61年10月3日第二小法廷判決参照)。このことからすれば,先使用権の基礎となる「発明」についても,その技術内容が抽象的な思想にとどまるものでは足りず,一定の技術的課題を解決するための技術的手段がその効果を挙げることができる程度に具体的かつ客観的なものとして構成されているものでなければならないと解するのが相当である。


 

判決文

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