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平成29年(行ケ)第10029号 審決取消請求事件:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット群及びその用途

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  • 2018/01/15
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事件番号等

平成29年(行ケ)第10029号 審決取消請求事件

裁判年月日

平成29年12月26日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(第2部)

権利種別

特許権(「エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット群及びその用途」)

訴訟類型

行政訴訟:審決(無効・不成立)

結果

審決取消

趣旨

  1. 特許庁が無効2016-800013号事件について平成28年9月13日にした審決を取り消す。

取消事由

  1. 新規性について
  2. 進歩性について
  3. 委任省令要件違反及び実施可能要件違反について
  4. サポート要件違反について
  5. 明確性要件違反について

裁判所の判断

  • 本件発明1は,甲1発明及び甲3に記載した事項から当業者が容易に発明をすることができたと認定することができ,本件発明1は,進歩性を欠くものということができる。
  • 以上のとおり,本件発明1についての審決の進歩性に係る判断には誤りがあるから,取消事由2には理由がある。
  • 本件発明についての本件明細書の発明の詳細の説明の記載は,特許法36条4項1号の規定に適合しないから,審決のこの点に係る判断には誤りがあり,取消事由3には理由がある。
  • 本件発明についての審決のサポート要件の判断には誤りがあり,取消事由4には理由がある。
  • 以上の次第で,原告の主張する取消事由2~4には理由があるから,審決は,取消しを免れない。

キーワード

新規性進歩性(発明の要旨認定,引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)/サポート要件/明確性/実施可能要件



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

3 取消事由4について
(1) 判断基準
 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か,また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも,当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。

(2) 判断
 前記2(1)オのとおり,本件明細書には,本件発明の課題について,当業者が理解できるように記載されていないから,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであると認めることはできないし,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも,当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるとも認められない。
 この点について,被告は,「本件発明は,粒径500μm(0.5mm)未満の微粉の含有量を0.1重量%以下に制御すること(新規な解決手段)により,『不完全溶融EVOH』に起因する界面での乱れによるゲル(点状に分布する透明な粒状の不完全溶融ゲルであり,EVOHの一部が極端な場合には他の樹脂層に突出するような形態)の発生(斬新な課題)を抑制することができる(新規課題解決効果の奏効)という特別な効果を得る」ものであると主張するが,前記2(1)のとおり,この課題は,本件明細書及び技術常識から理解することができない。
 したがって,本件発明についての審決のサポート要件の判断には誤りがあり,取消事由4には理由がある。

 

判決文

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