小売等役務商標制度のご案内

1. はじめに

 小売業者・卸売業者(以下、「小売業者等」と表します。)が、その業務に係る小売・卸売(以下、「小売等」と表します。)に使用する商標は、従来、取り扱う商品についての商標登録(商品商標)を行うことによって保護されていましたが、小売業者等が顧客に対して行っている商品の品揃え、陳列、接客サービス等のサービス活動は、商品の販売に伴う付随的なサービスとされていたため、役務商標(サービスマーク)としては保護されていませんでした。

 この度、小売業者等の利便性の向上及び国際的な制度調和を図り、小売業者等が行っている上記サービス活動をサービスマークとして直接保護しようとするため、商標法が改正され、平成19年4月1日から小売等役務商標の商標登録出願の受付が開始することになりました。

2. 対象となる業種と商標

 各種の商品を網羅的に取り扱う百貨店等(以下、「総合小売」と表します。)及び一定のカテゴリーに属する商品群を取り扱う家電量販店等や特定の商品を取り扱うパン屋等(以下、「特定小売」と表します。)のあらゆる小売業・卸売業が対象となります。又、カタログ、インターネットによる通信販売も対象になります。

 そして、上記小売業者等が、店舗の看板、ショッピングカート、買い物かご、レジ袋、店員の名札、取り扱い商品の値札、折込みチラシ、広告等に表示する商標が対象となります。

3. 出願日の特例と使用に基づく特例

 平成19年4月1日から平成19年6月30日までの小売等役務商標出願は同日出願として取り扱われて審査されます。

 そして、平成19年3月31日以前から使用している商標であれば、使用証明を提出し、使用に基づく特例を主張すれば、使用していない商標出願に優先して登録され、使用特例出願同士であれば、周知著名度に差がなければ、重複して登録がなされます。

4. 留意点

(1) 小売等役務商標出願の審査において、その商標の使用証明を特許庁から求められる可能性が高いと予想されます。従って、その商標を使用しているのであれば、平成19年3月31日以前から出願に係る商標を小売等役務に使用している証拠を今のうちに準備しておく必要があります。 使用証明としては、新聞、チラシ、カタログ等の印刷物(頒布日、印刷日が証明できるもの)、店舗、店内の写真(商標と取り扱い商品が一体として判るもの。撮影日、撮影者が証明できるもの)、納品書、請求書等の取引書類等が考えられます。

(2) 総合小売は、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範疇にわたる商品を一括して1事業所で扱っており、かつ、各範疇の何れもが総売上高の10%〜70%程度の範囲内であることが必要です。従って、百貨店、総合スーパーなどが想定されます。これを満たさないものは基本的に特定小売としての出願になります。

(3) 特定小売として出願した場合のみ、先に登録されている商品商標と抵触しているか否かの審査があります(総合小売にはありません)。例えば、「パンの小売」で出願した商標「○○」は、商品「パン」の他人の先行登録商標「○○」が存在すれば、拒絶されることになりますので、ご留意ください。特定小売で出願する場合、同一又は類似の先行商品商標の調査をするのが有効かもしれません。

(4) 原則、出願人が小売業又は卸売業を行い、その商標を使用していることとされていますが、商標の使用者が子会社、加盟店等であっても特許庁は認めるようです。例えば、ショッピングビル等、各種テナントが小売業を行っている場合は、出願人が小売業を行っていなくても、テナントがそのビル名等を使用していれば、小売等役務商標の対象になる可能性があります。従って、この場合、各テナントがその商標を使用している証拠が必要となりますので、ご留意ください。

(5) 製造小売については、通常、商品商標として登録を受けているものと思いますが、店舗において、店舗独自の商品の品揃え、接客サービス等を行っている、他社商品も取り扱っている等といったサービス活動の側面の保護を受けたいのであれば、小売等役務商標も出願しておくほうがよいと思います。登録されれば、その商標は重畳的に保護されることになると考えます。

(6) 小売等役務商標出願であっても、全て登録されるのではなく、通常の商標と同じように、一般的な登録要件を満たす必要があります。

(7) 費用としては、通常の商標出願と同程度必要になるとお考えください。

 


以上のとおり、ご案内させて戴きますので、ご不明な点、ご相談等ございましたら、弊所までご連絡ください。

北斗特許事務所
所長 弁理士 西川惠清
担当 弁理士 田中康継


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