知財用語集GLOSSARY

包括委任状とは、あらかじめ事件を特定しない包括的な代理権を、ある特定の者から弁理士(特許業務法人が法人として代理する場合には当該法人)に授与した旨を証明した書面のことである。
特許出願等の手続に際して、当該包括委任状を援用することにより代理権の証明を行うことができ、手続をする者の便宜の向上、特許庁の事務効率の向上等の観点を踏まえて導入された(方式便覧114.01)。
包括委任状には、委任事項(弁理士に委任する内容)が記載され、代理人である弁理士の氏名、法人である特許事務所が代理人である場合には、当該特許事務所の名称、本人である依頼者の氏名又は名称、住所、法人である場合には代表者名を記載し、押印したものを「包括委任状提出書」という書類名で紙で特許庁に提出する。そうすると遅くとも1カ月ほどで特許庁より「包括委任状番号通知」が送付される。
包括委任状番号通知には、包括委任状番号が記載され、代理人である弁理士(法人代理の場合には特許事務所)は、特許出願の願書、委任状の提出が必要な手続に関する書面、具体的には、審判請求書や名義変更届に包括委任状番号を記載することで委任状の提出を省略できる。
包括委任状と委任状(包括委任状に対して、いわゆる「個別委任状」という。)との違いは、あらかじめ事件を特定せずに包括的な代理権を授与したことを証明するか、個々の事案に対して代理権を授与したことを証明するのかの相違であるが、知的財産権に関する出願や手続を将来的に継続して行うのであれば、包括委任状を提出しておくことが効率的である。