事件番号等 |
平成27年(ワ)第12415号 特許権侵害差止請求事件 |
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裁判年月日 |
平成28年12月2日 |
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担当裁判所 |
東京地方裁判所(民事第40部) |
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権利種別 |
特許権(「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」、「オキサリプラチン溶液組成物ならびにその製造方法及び使用オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」) |
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訴訟類型 |
民事訴訟 |
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結果 |
請求棄却 |
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趣旨 |
1 被告は,別紙被告製品目録記載の各製剤について,生産,譲渡又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告は,別紙被告製品目録記載の各製剤を廃棄せよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 仮執行宣言 |
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争点 |
(1) 被告各製品は本件発明1の技術的範囲に属するか (2) 被告各製品に延長された本件特許1の効力が及ぶか (3) 本件特許1は特許無効審判により無効にされるべきものか (4) 被告各製品は本件発明2の技術的範囲に属するか (5) 本件特許2は特許無効審判により無効にされるべきものか (6) 本件特許2について訂正の対抗主張の成否 |
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裁判所の判断 |
被告各製品は,延長された本件特許1の効力が及ぶものではなく,また,本件発明2及び本件訂正発明2の技術的範囲に属しない。したがって,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却する。 |
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キーワード |
技術的範囲の属否/延長登録(存続期間が延長された特許権の効力)/文言の意義(「解離シュウ酸」・「緩衝剤」) |
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
当該政令処分により存続期間が延長された特許権の効力は当該政令処分対象物についての特許発明の実施の範囲に限定されるものの,その技術的範囲については通常の特許権の特許発明の技術的範囲と同様に考えることができるというべきであるから,結局,実質的同一物該当性の判断基準としては,まず,特許法70条に基づく技術的範囲の属否を検討するほか,文言解釈上は当該政令処分対象物についての特許発明の技術的範囲に属しない場合であっても,信義則の見地から,当該政令処分対象物と当該被疑侵害品の差異(以下「当該差異部分」という。)について,①当該差異部分が当該政令処分対象物についての特許発明における本質的部分ではなく,②当該差異部分を当該被疑侵害品におけるものと置き換えても,当該政令処分対象物についての特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③上記②のように置き換えることに,当該政令処分対象物についての特許発明の属する技術の分野における当業者が,当該被疑侵害品の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④当該被疑侵害品が,当該特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤当該被疑侵害品が当該政令処分ないし特許延長登録に係る手続において処分ないし延長登録の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,当該被疑侵害品は,当該政令処分対象物と均等なものとして,当該政令処分対象物についての特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当であり(最高裁判所平成10年2月24日第三小法廷判決・民集第52巻1号113頁参照),かつ上記基準をもって足りるというべきである。