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知財裁判例速報

平成28年(ワ)第8475号 商標権侵害行為差止等請求事件:「SCANeR」及び「OKTAL」の標準文字からなる商標

  • 2017/04/04
  • 知財裁判例速報

事件番号等

平成28年(ワ)第8475号 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日

平成29年3月28日

担当裁判所

東京地方裁判所(第46部)

権利種別

商標権(「SCANeR」及び「OKTAL」の標準文字からなる商標)

訴訟類型

民事訴訟

結果

請求棄却

趣旨

1 被告は,ドライビングシミュレーターに別紙被告標章目録記載の各標章(以下,同目録記載の番号により「被告標章1」などという。)を付し,前記各標章を包装に付したドライビングシミュレーターを販売し,引き渡し,販売若しくは引渡しのために展示し,輸入し,ドライビングシミュレーターに関する説明書,パンフレットその他の広告に前記各標章を付して展示若しくは頒布し,又はドライビングシミュレーターに関する情報に前記各標章を付してインターネット,ホームページで提供してはならない。

2 被告は,被告標章1~3を付したドライビングシミュレーター,包装,容器及び説明書,パンフレットその他の広告を廃棄し,前記各標章を記載したインターネットのホームページから前記各標章を付したドライビングシミュレーターに関する情報を削除せよ。

3 被告は,原告に対し,706万2000円及びこれに対する平成28年3月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

争点

(1) 被告による被告標章1及び3の使用の有無

(2) 権利濫用の有無

(3) 無効理由の有無
 被告は,本件登録商標1及び2に係る各商標登録(以下「本件各商標登録」と総称する。)には以下の無効理由)(後記オは本件登録商標2のみに関する。)があるから,原告は本件各商標権を行使することができない(商標法39条,特許法104条の3第1項)と主張する。
  ア 商標法4条1項19号違反
  イ 同項10号違反
  ウ 同項15号違反
  エ 同項7号違反
  オ 同項8号違反

(4)損害額

裁判所の判断

・以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。

キーワード

無効理由/権利の濫用/不正の目的



商標権における権利の濫用の一例について

実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 

  「SCANeR」及び「OKTAL」の商標は商品の出所がフランス・オクタル社に由来することを示すものとして取引者及び需要者に認識されていると認められるから,かつての販売代理店であった原告が,現在の販売代理店である被告に対して本件各商標権を行使することは,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護するという商標法の目的に反し,権利の濫用に当たると判断するのが相当である。


 

判決文