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知財裁判例速報

平成28年(行ケ)第10272号 審決取消請求事件:極肉.com

  • 2017/08/04
  • 知財裁判例速報

事件番号等

平成28年(行ケ)第10272号 審決取消請求事件

裁判年月日

平成29年7月19日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(第1部)

権利種別

商標権(「極肉.com」(標準文字))

訴訟類型

行政訴訟:審決(無効・不成立)

結果

請求棄却

趣旨

特許庁が無効2016-890027号事件について平成28年11月16日にした審決を取り消す。

取消事由

原告の主張する取消事由は,本件商標と引用商標との類否判断の誤りをいうものである。上記取消事由における実質的な争点は,類否判断をする前提として,本件商標の「極肉.com」のうち「極」という一部を抽出し,この文字部分のみを比較の対象として引用商標との類否を判断することができるかどうかという点である。

裁判所の判断

  • 原告の主張する取消事由には理由がなく,審決に取り消されるべき違法はない。よって,本件請求は理由がないから,これを棄却する。

キーワード

無効審判/結合商標/分離観察/ドメイン



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

 原告が登録無効を主張する本件指定商品等との関係では,本件商標の構成のうち「肉」の文字部分は,本件指定商品等に関する物又は役務の提供の用に供する物をいうものであるから,原告の主張するとおり,それ自体を単独でみれば出所識別標識としての機能は弱いものといえる。 しかしながら,本件商標は「極肉.com」という文字で構成されるところ,このうち「極肉」という文字部分は,「.com」という文字部分の前に位置することから,取引者又は需要者は,これをドメイン名を表示する一体のものとして理解するものと認めるのが相当である。しかも,本件商標の構成のうち「極」は「肉」を修飾する形容詞であるから,「極肉」という文字自体,文法構造上分離するのは相当ではなく,一体のものとして理解するのが自然である。のみならず,「極肉」という文字は,これ自体から特定の定着した観念を生じさせるものではなく,いわば一体となって造語を形成するものであるから,その一部のみが強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
 これらの事情の下においては,本件商標の構成のうち「極」の文字部分を抽出し,この部分だけを引用商標と比較して類否を判断することは,許されないというべきである。

 

判決文