| 事件番号等 | 平成29年(行ケ)第10145号 審決取消請求事件 | 
| 裁判年月日 | 平成29年12月13日 | 
| 担当裁判所 | 知的財産高等裁判所(第1部) | 
| 権利種別 | 商標権(「ハート」) | 
| 訴訟類型 | 行政訴訟:審決(取消・不成立) | 
| 結果 | 請求棄却 | 
| 趣旨 | 
	特許庁が取消2016-300436号事件について平成29年6月6日にした審決を取り消す。 | 
| 取消事由 | 
取消事由1(本件商標の使用についての認定の誤り)取消事由2(商標法50条の規定の解釈・適用に関する誤り) | 
| 裁判所の判断 | 
以上のとおり,原告の請求は理由がないから,これを棄却する | 
| キーワード | 不使用取消審判/社会通念上同一の商標/一体不可分的に結合 | 
実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。
 前記1に認定の事実によれば,被告は,容器の胴体部に付されたラベルの薄い緑の帯状の背景内に,ややデザイン化された赤い文字で「ハート」の片仮名と,これに続けて白抜きのゴシック体で「O2EXスーパー」の文字が表記された本件商品を販売したことが認められる。
 本件商品の容器に使用された標章は,上記のとおりの構成であるところ,「ハート」の片仮名部分は,ややデザイン化された赤い文字で表記されているのに対し,「O2EXスーパー」の文字部分は,白抜きのゴシック体で表記されていることに照らすと,「ハート」の文字と「O2EXスーパー」の文字が,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど一体不可分的に結合しているとはいえず,そのように一体として把握する必要はないものであると認められる。
 また,「ハート」に続いて「O2EXスーパー」の文字が連続して表記されているとしても,「O2EXスーパー」の語が,指定商品であるコンタクトレンズにおいては,酸素透過性に関する性能上の特徴を表す記述であると考えられるから(「O2」は酸素透過性を,「EX」及び「スーパー」は酸素透過性が高いことを,それぞれ意味する記述であると解される。),自他商品の識別機能が弱い語であると認められる上,「ハート」の文字をややデザイン化することにより,「ハート」の語が強調して表記されていることに照らすと,「ハート」と「O2EXスーパー」を一体的に把握する必要はなく,かえって,需要者及び取引者は,デザイン化された赤色の「ハート」の文字部分に着目し,これを識別標識と捉えて取引に当たると考えるのが相当である。
 
判決文