平成29年(行ケ)第10181号 審決取消請求事件:箸の持ち方矯正具
					
					
					
					
					
						
| 事件番号等 | 平成29年(行ケ)第10181号 審決取消請求事件 | 
| 裁判年月日 | 平成30年2月26日 | 
| 担当裁判所 | 知的財産高等裁判所(第4部) | 
| 権利種別 | 意匠権(「箸の持ち方矯正具」) | 
| 訴訟類型 | 行政訴訟:審決(無効:不成立) | 
| 結果 | 請求棄却 | 
| 主文 | 
	原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。 | 
| 趣旨 | 
	特許庁が無効2016-880025号事件について平成29年8月22日にした審決を取り消す。 | 
| 争点 | 
本件意匠が意匠法3条2項に該当するとはいえないとした判断の誤り(1) 相違点(c)の認定・判断の誤り
 (2) 相違点(d)の認定・判断の誤り
 (3) 相違点(a)の判断の誤り
 (4) ありふれた手法による公知意匠の組合せに関する判断の誤り
 
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| 裁判所の判断 | 
本件意匠は,箸の持ち方を矯正する目的で箸に適宜着脱して使用される,略正四角筒状体の取付部とこれにめり込んで一体化したリング部からなる構成部品Aと構成部品Bの2つの部品を一対として構成され,構成部品Aは,リング部の孔の中心線の方向が,取付部の孔の中心線の方向と直交する向きであって,傾きがないものであるのに対し,構成部品Bは,リング部の孔の中心線の方向が,取付部の孔の中心線と概略同方向で,左右方向に少し,上下方向にも少し,傾けたものであり,全体としてまとまり感のある一体の美感を形成しているものと認められる。かかるまとまり感のある一体の美感を形成する意匠の構成には,着想の新しさや独創性があるというべきであるから,当業者がかかる意匠を創作することが容易であったとはいえない。このように,本件意匠は,箸の持ち方を矯正する目的で箸に適宜着脱して使用される,一対の構成部品Aと構成部品Bという2つの部品から構成された点及び直線的な印象を与える構成部品Aと角度が異なり傾いた印象を与える構成部品Bが対になったまとまり感のある一体の美感を形成している点に,意匠としての着想の新しさや独創性が認められるものである。以上によれば,引用例1及び引用例2に記載された意匠から,本件意匠に係る箸に適宜着脱して使用される取付部とリング部からなる構成部品Aと構成部品Bの2つの部品を一対とした物品の形態は,容易に創作できたものとは認められない。したがって,本件意匠は,意匠法3条2項に該当するものではなく,本件審決は結論において相当であるから,取消事由は理由がない。よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 | 
| キーワード | 創作非容易性(意匠法3条2項)/新たな証拠の提出/時機に後れた攻撃防御方法/ありふれた手法/組合わせ/まとまり感のある一体の美感 | 
 
判決文