平成28年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件等:ピリミジン誘導体

お知らせ・コラム

知財裁判例速報

平成28年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件等:ピリミジン誘導体

  • 知財裁判例速報
  • 2018/05/02
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

事件番号等

平成28年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件(第1事件)
平成28年(行ケ)第10184号 審決取消請求事件(第2事件)

裁判年月日

平成30年4月13日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(特別部)

権利種別

特許権(「ピリミジン誘導体」)

訴訟類型

行政訴訟:審決(無効・不成立)

結果

請求棄却

主文

  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。
  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

趣旨

  1. 第1事件
    特許庁が無効2015-800095号事件について平成28年7月5日にした審決を取り消す。
  2. 第2事件
    上記1と同じ。

取消事由

  • 取消事由1(進歩性の判断の誤り)
  • 取消事由2(サポート要件についての判断の誤り)

裁判所の判断

  • 平成26年法律第36号による改正前の特許法の下において,特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益は,特許権消滅後であっても,特許権の存続期間中にされた行為について,何人に対しても,損害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情がない限り,失われることはない。以上を踏まえて本件を検討してみると,本件において上記のような特段の事情が存するとは認められないから,本件訴訟の訴えの利益は失われていない。
  • 相違点(1-ⅱ)について検討するまでもなく,当業者が,甲1発明に甲2発明を組み合わせることにより,本件発明1を容易に発明をすることができたとは認められない。また,本件発明2,5及び9~11の化合物は本件発明1に包含されるものであるところ,本件発明1につき,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない以上,本件発明1を更に限定した本件発明2,5及び9~11についても,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。さらに,本件発明12のHMG-CoA還元酵素阻害剤は,本件発明1の化合物を有効成分として含有するHMG-CoA還元酵素阻害剤であるところ,本件発明1につき,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない以上,本件発明12についても,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。したがって,本件発明1,2,5及び9~12は,いずれも甲1発明に甲2発明を組み合わせることにより,容易に発明をすることができたとは認められず,原告ら主張の取消事由1は理由がない。
  • 本件発明1,2,5及び9~12は,平成6年法律第116号附則6条2項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法36条5項1号に適合するものでないとはいえない。したがって,原告ら主張の取消事由2は理由がない。
  • よって,原告ら主張の取消事由は,いずれも理由がない。以上の次第で,原告らの請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。

キーワード

進歩性(引用発明の認定,相違点の判断)/特許請求の範囲の記載要件(サポート要件)/訴えの利益



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

  エ 以上によると,平成26年法律第36号による改正前の特許法の下において,特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益は,特許権消滅後であっても,特許権の存続期間中にされた行為について,何人に対しても,損害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情がない限り,失われることはない。
オ 以上を踏まえて本件を検討してみると,本件において上記のような特段の事情が存するとは認められないから,本件訴訟の訴えの利益は失われていない。(2) なお,平成26年法律第36号による改正によって,特許無効審判は,「利害関係人」のみが行うことができるものとされ,代わりに,「何人も」行うことができるところの特許異議申立制度が導入されたことにより,現在においては,特許無効審判請求をすることができるのは,特許を無効にすることについて私的な利害関係を有する者のみに限定されたものと解さざるを得ない。

しかし,特許権侵害を問題にされる可能性が少しでも残っている限り,そのような問題を提起されるおそれのある者は,当該特許を無効にすることについて私的な利害関係を有し,特許無効審判請求を行う利益(したがって,特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益)を有することは明らかであるから,訴えの利益が消滅したというためには,客観的に見て,原告に対し特許権侵害を問題にされる可能性が全くなくなったと認められることが必要であり,特許権の存続期間が満了し,かつ,特許権の存続期間中にされた行為について,原告に対し,損害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情が存することが必要であると解すべきである。

 

判決文

 RSSリーダーで購読する

内容についてご不明点などございましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい



知的財産に関するご相談や疑問・質問など、お気軽にお問い合わせください。06-6345-7777 (営業時間:平日 9:00~18:00)