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知財裁判例速報

平成30年(ネ)第10015号 特許権侵害差止等請求控訴事件:光学情報読取装置

  • 2018/11/19
  • 知財裁判例速報
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事件番号等

平成30年(ネ)第10015号 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日

平成30年9月26日

担当裁判所

知的財産高等裁判所(第4部)
(原審・東京地方裁判所・平成28年(ワ)第32038号)

権利種別

特許権(「光学情報読取装置」)

訴訟類型

民事訴訟

結果

控訴棄却

主文

  1. 本件控訴を棄却する。
  2. 控訴費用は控訴人の負担とする。

趣旨

  1. 原判決中,控訴人の損害賠償請求を棄却した部分を取り消す。
  2. 被控訴人は,控訴人に対し,2億円及びこれに対する平成28年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

争点

(1) 本件発明の技術的範囲への被告製品の属否
ア 文言侵害の成否(順に争点1-1ないし1-4という。)
被告製品が本件発明の構成要件A,C,E,Hを充足することは当事者間に争いがない。
 (ア) 構成要件Bの充足性
 (イ) 構成要件Dの充足性
 (ウ) 構成要件Fの充足性
 (エ) 構成要件Gの充足性
イ 均等侵害の成否(争点1-5)
(2) 本件特許に係る無効理由の存否
ア 進歩性欠如(順に争点2-1ないし2-7という。)
 (ア) ICX084AL を用いた2次元バーコードリーダを主引用例とするもの
 (イ) 2次元コードリーダ(IT4400)を主引用例とするもの
 (ウ) 乙5(特開平7-254037号公報)を主引用例とするもの
 (エ) 乙6(特開平9-270501号公報)を主引用例とするもの
 (オ) 乙7(特開平8-334691号公報)を主引用例とするもの
 (カ) 乙8(米国特許第5331176号明細書)を主引用例とするもの
 (キ) 乙9(特開平7-73266号公報)を主引用例とするもの
イ 記載要件違反(順に争点2-8及び2-9という。)
 (ア) 明確性要件違反(①「所定の周波数成分比の検出」,②「相対的に長く設定し」,③「所定値」)
 (イ) 実施可能要件違反(①「所定の周波数成分比の検出」,②「所定値」,③「相対的に長く設定し」)
(3) 原告の損害額(争点3)

裁判所の判断

  • 本件発明は本件特許出願前に公然実施されていたIT4400に係る発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから,本件発明に係る本件特許には,進歩性欠如の無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。したがって,控訴人は,被控訴人に対し,特許法104条の3第1項の規定により,本件特許権を行使することができないから,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の損害賠償請求は,理由がない。
  • 以上のとおり,控訴人の損害賠償請求は理由がないから,これを棄却した原判決は相当である。したがって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。

キーワード

特許の有効性(進歩性)/弁論再開申請



 

判決文