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平成28年(ワ)第12791号 意匠権侵害差止等請求事件:放熱フィン付き検査用照明器具

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  • 2018/12/06
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事件番号等

平平成28年(ワ)第12791号 意匠権侵害差止等請求事件

裁判年月日

平成30年11月6日

担当裁判所

大阪地方裁判所(第21民事部)

権利種別

意匠権(「放熱フィン付き検査用照明器具」)

訴訟類型

民事訴訟

結果

請求一部認容

主文

  1. 被告は,別紙「物件目録」1ないし3記載の製品を製造し,販売し,販売の申出をしてはならない。
  2. 被告は,原告に対し,289万5387円並びに内金271万6641円に対する平成29年1月17日から,内金13万8096円に対する平成30年3月6日から,及び内金4万0650円に対する同年8月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  4. 訴訟費用は,これを5分し,その1を被告の,その余を原告の負担とする。
  5. この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

趣旨

  1. 被告は,別紙「物件目録」1ないし6記載の製品を製造し,販売し,販売の申出をしてはならない。
  2. 被告は,前項記載の各製品を廃棄せよ。
  3. 被告は,原告に対して,4525万円及びこれに対する平成29年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

争点

(1) 被告製品の意匠は本件意匠に類似するか(争点1)
(2) 本件意匠は意匠登録無効審判により無効にされるべきものか(争点2)
(3) 被告が本件意匠権を侵害するおそれがあるか(争点3)
(4) 原告の損害額,原告の損失・被告の利得の額(争点4)

裁判所の判断

  • 原告の請求は主文第1項及び第2項の限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条1項本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。なお,主文第1項については,仮執行の宣言を付すのは相当でないから,これを付さない。

キーワード

部分意匠/無効理由/新規性欠如/創作非容易性/類否判断/要部/差止請求権/意匠権侵害のおそれ/損害額



実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

  被告は,イ号物件ないしハ号物件の製造,販売を中止し,ニ号物件ないしヘ号物件に切り替えたことから,その製造,販売等の差止めの必要性がないと主張している。
 確かに,上記製造,販売の中止は,2年近く前に,原告から本件意匠権を侵害することを指摘されて,自発的にされたものである(甲18,19,乙5)が,被告はイ号物件を平成22年6月から,ハ号物件を平成23年11月からそれぞれ長年にわたって製造,販売していたのであるし,本件訴訟においては,イ号物件ないしハ号物件の意匠は本件意匠と類似せず,本件意匠権は無効であるとして争ってきたこと等に照らせば,被告がイ号物件ないしハ号物件を製造,販売等するおそれが全く消滅したとまでいうことはできない。
 したがって,被告がこれらを製造,販売等するおそれがあると認められるから,その差止めを認めるのが相当である。


実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

   本件意匠に係る物品は検査用照明器具で,本件意匠はその後方部材の意匠であるところ,イ号物件ないしハ号物件全体の中で,上記後方部材に相当する部分が占める割合は,正面視における面積比において,最大でも4割程度と考えられる(乙18参照)。そして,各物件には,本件意匠に係る物品と同じく,前方部材には光導出ポート等が設けられ,LED等が内蔵されていると考えられるから,イ号物件ないしハ号物件全体の製造原価の中で後方部材の製造原価が占める割合は,かなり低いと考えられる。
 また,既に検討したとおり,イ号物件ないしハ号物件の意匠と本件意匠には種々の共通点がみられるものの,これらの共通点に係る構成態様は,検査用照明器具の物品分野の意匠において,本件意匠の意匠登録出願前に広く知られた形態であり,本件意匠の要部とはされない部分も多い。したがって,イ号物件ないしハ号物件が部分意匠である本件意匠に類似するとしても,これが需要者の購買動機に結びつく度合いは低いといわざるを得ない。


実務上役立つと思われる点を、以下の通り判決文より抜粋する。

   確かに,本件意匠に係る形態は,電源ケーブルがどこから引き出されるかということと密接不可分のものであって,後端フィン及び中間フィンの孔の有無は,フィンの放熱効率とも関連し得るものであるということはできる。しかし,本件はあくまでも意匠権侵害を理由とする請求であるから,その損害額を認定するに当たって,イ号物件ないしハ号物件の放熱性や輝度性といった性能や機能等を考慮することはできない。また,前記認定のとおり,原告自身,原告の製品を販売するに当たって,本件意匠には言及すらしておらず,原告主張の機能美を強調していたわけでもない。

 

判決文

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